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結論:迷ったら10,000mAh・約200g。ただし「表示容量がそのまま使える」わけではない
モバイルバッテリーの容量表示(mAh)は、内部の電池セルの容量です。スマホに渡せる量はこれより少なくなります。どれだけ減るかは、メーカーが公表している「定格容量」と「Wh(ワット時)」を見れば計算できます。本記事では、国土交通省の計算式とメーカー公表スペックだけを使って、容量の選び方を整理します。
あわせて、2026年4月24日から飛行機への持ち込みルールが変わりました(1人2個まで・機内での充電禁止)。旅行用に買う人は先にこちらを確認してください。
先に:大容量モデルを買わない方がいい人
- 毎日持ち歩き、補充は1日1回分で足りる人:Ankerの20,000mAhモデルの公表重量は約345g〜約462g(後述の表)で、10,000mAhクラス(約194g〜220g)の約1.6〜2.4倍です(345÷220≒1.57、462÷194≒2.38)。Anker PowerCore 10000 PD Redux 25Wはメーカー公表で「スマートフォンに約2回」充電できるとしています。1日に必要な補充がこの目安以下なら、この製品で足りる計算です。回数は製品やスマホの機種によって変わるため、ほかの製品は各メーカーの公表値で確認してください。
- 飛行機の中で充電するつもりの人:2026年4月24日以降、機内でモバイルバッテリーを充電すること、モバイルバッテリーから他の機器へ充電することはどちらも禁止です。大容量を買っても機内では使えません。
- 予備を3個以上持って飛行機に乗る人:機内に持ち込めるのは1人2個まで(160Wh以下に限る)で、預け入れ荷物には入れられません。
mAhとWhの違い:Whは国の公式な計算式で出せる
mAh(ミリアンペアアワー)は電気の量、Wh(ワットアワー)はエネルギーの量です。電池の電圧が違うとmAhだけでは比べられないため、飛行機の持ち込み基準はWhで決められています。国土交通省の資料では、次の式が示されています(国土交通省:モバイルバッテリーの機内持込みの新たなルールについて)。
ワット時定格量(Wh)= 定格容量(mAh)× 定格電圧(V)÷ 1,000
国土交通省の例:27,000mAh × 3.7V ÷ 1,000 = 99.9Wh
電圧は製品によって違います。本体に印字された値を使ってください。たとえばCIOのSMARTCOBY SLIMⅡ Wireless2.2 SS10Kは「3.92V, 10000mAh, 39.2Wh」と公表しています(10,000 × 3.92 ÷ 1,000 = 39.2Wh)。3.7Vで計算した場合の目安は次のとおりです。
| 表示容量 | Wh(3.7Vで計算) | 機内持ち込み(2026年4月24日以降) |
|---|---|---|
| 5,000mAh | 18.5Wh | 可(1人2個まで) |
| 10,000mAh | 37Wh | 可(1人2個まで) |
| 20,000mAh | 74Wh | 可(1人2個まで) |
| 27,000mAh | 99.9Wh | 可(1人2個まで) |
| 約43,243mAh超 | 160Wh超 | 持ち込み不可 |
電圧が3.7Vより高い製品は、同じmAhでもWhが大きくなります。160Whに近い製品は、必ず本体表示のWhで確認してください。
USB出力として取り出せる量の目安は「出力側の定格容量」で分かる
電池セルの電圧は3.7V前後ですが、USBの出力は5V以上です。Ankerの解説にあるとおり、この電圧を変換するときにロスが出るため、表示容量すべてをスマホに渡すことはできません。
ここで注意したいのは、「定格容量」という言葉が2つの意味で使われていることです。
- 電池側の容量:国土交通省のWhの式で使うのはこちらです(上の例では27,000mAh・3.7V)。機内持ち込みの判定は、必ず電池側の容量と電圧で計算します。
- USB出力側の容量:メーカーが「定格容量:◯mAh(5V⎓2A)」のように、出力電圧の条件つきで示す値です。CIO SS10Kは「定格容量:6000mAh(5V⎓2A)」と公表しています。
出力側の値と電池側のWhを比べると、変換後に残る割合を計算できます。
計算例:CIO SS10K(公表値のみ使用)
USB出力側(5V⎓2A条件):6,000mAh × 5V ÷ 1,000 = 30Wh
電池側:10,000mAh × 3.92V ÷ 1,000 = 39.2Wh
30 ÷ 39.2 ≒ 0.77(約77%)
つまりこの製品では、内部エネルギーの約77%がUSB出力として使える計算です。出力側の定格容量は製品ごとに違うため、比較するときは各製品の仕様表に載っている値を使ってください。出力側の定格容量が載っていない製品は、この計算ができません。
スマホを何回充電できるか
バッテリーの出力側の値(5V)とスマホの電池容量(電池の電圧)は単位の条件が違うため、mAh同士を割っても充電回数にはなりません。スマホ側でも充電時にロスが出ます。スマホの電池の電圧を公表していないメーカーも多く、公表値だけで回数を正確に計算することはできません。回数は、バッテリーメーカーが製品ページで示す値を目安にしてください(例:後述のAnker PowerCore 10000 PD Redux 25Wは「スマートフォンに約2回、タブレット端末に約1回」)。
容量と重さ:メーカー公表値で比べる
Anker・CIOの公式仕様から重量を並べました。この表の範囲では、20,000mAhモデルは10,000mAhモデルの約1.6〜2.4倍の重さです(最小345g÷220g≒1.57倍、最大462g÷194g≒2.38倍)。
| 製品 | 容量 | 重さ(公表値) | 最大出力(公表値) |
|---|---|---|---|
| Anker PowerCore 10000 PD Redux 25W | 10,000mAh | 約194g | 25W |
| Anker Power Bank (10000mAh, 22.5W) | 10,000mAh | 約200g | 22.5W |
| CIO SMARTCOBY SLIMⅡ Wireless2.2 SS10K | 10,000mAh | 約200g | USB-C 30W(12V⎓2.5A) |
| Anker Power Bank (10000mAh, 30W) | 10,000mAh | 約220g | 30W |
| Anker Power Bank (20000mAh, 22.5W, Built-In USB-C ケーブル) | 20,000mAh | 約345g | 22.5W |
| Anker Power Bank (20000mAh, 87W, Built-In USB-C ケーブル) | 20,000mAh | 約430g | 合計87W(USB-C 1ポートあたり最大65W) |
| Anker Power Bank (20000mAh, 30W) | 20,000mAh | 約462g | 30W |
出典:Anker PowerCore 10000 PD Redux 25W/Anker Power Bank (10000mAh, 22.5W)/Anker Power Bank (10000mAh, 30W)/Anker Power Bank (20000mAh, 22.5W)/Anker Power Bank (20000mAh, 87W)/Anker Power Bank (20000mAh, 30W)
同じ20,000mAhでも、約345gと約462gで117gの差があります。容量だけでは重さは決まらないので、候補ごとに公表重量を確認してください。ノートPCに給電したい場合は、合計出力ではなく1ポートあたりの最大出力をPCが必要とするW数と照らし合わせます。たとえば87Wモデルは合計87Wですが、USB-C 1ポートあたりは最大65Wです(Anker公式)。
価格で比べる:1,000mAhあたりの値段
公式ストアの税込価格を容量で割り、1,000mAhあたりの価格で比べます。
| 製品 | 公式価格(税込) | 1,000mAhあたり | 主な違い |
|---|---|---|---|
| Anker PowerCore 10000 PD Redux 25W | 3,990円 | 399円 | 有線のみ・25W |
| CIO SMARTCOBY SLIMⅡ Wireless2.2 SS10K | 9,480円 | 948円 | Qi2.2ワイヤレス25W・厚さ約14mm |
同じ10,000mAhでも、1,000mAhあたりの価格は2倍以上違います。差額は5,490円です。価格差の内訳はメーカーが公表していないため、どの機能にいくら上乗せされているかは分かりません。ワイヤレス充電を使わないなら、まず容量あたりの価格が安いモデルから検討すると比較しやすくなります。価格は2026年9月時点の各公式ストアの表示で、セールなどで変わります。
用途別の選び方
| 用途 | 容量の目安 | 判断のポイント |
|---|---|---|
| 通勤・通学(毎日持つ) | 10,000mAh | 公表重量200g前後のモデルが多い |
| 1〜2泊の旅行・出張 | 10,000〜20,000mAh | 機内持ち込みは2個まで・機内での充電は不可 |
| ノートPCにも給電 | 20,000mAh | PC側が求める出力(W)を満たすか先に確認 |
10,000mAhクラスの代表例:Anker PowerCore 10000 PD Redux 25W
公表値は10,000mAh・約194g・約107×52×27mm・最大25W、公式価格3,990円(税込)。メーカーは「スマートフォンに約2回、タブレット端末に約1回充電可能」としています。定格容量は公式ページに記載がないため、上の約77%の計算はこの製品には当てはめられません。本体の充電はUSB-C入力(5V⎓3A/9V⎓2A)です。
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20,000mAhクラスを探す場合
20,000mAh(3.7V換算で74Wh)は機内に持ち込める範囲ですが、公表重量は約345g〜約462gです。持ち歩く日数と、PCへの給電が必要かどうかで出力を決めてから選んでください。
飛行機に持ち込むときのルール(2026年4月24日から)
国際民間航空機関(ICAO)の国際基準の緊急改訂を受け、国土交通省は2026年4月24日から次のルールを追加しました(国土交通省、ANA)。
- 機内持ち込みのモバイルバッテリーは1人2個まで(160Wh以下に限る)
- 機内でモバイルバッテリーに充電しない
- 機内でモバイルバッテリーから他の電子機器に充電しない
従来からのルールとして、預け入れ荷物に入れることは禁止、160Whを超えるものは持ち込み禁止です。国土交通省は、端子を絶縁テープで覆うなどのショート対策と、座席上の収納棚に入れず手元で保管することも求めています。
安全面:PSEマークを確認する
モバイルバッテリーは電気用品安全法の規制対象で、2019年2月1日以降、PSEマークのないモバイルバッテリーは販売が禁止されています(経済産業省)。NITE(製品評価技術基盤機構)には、2020年から2024年までの5年間に「リチウムイオン電池搭載製品」の事故が1,860件通知されています(NITE)。容量や価格の前に、本体にPSEマークがあるかを確認してください。
よくある質問
Q. 20,000mAhのモバイルバッテリーは飛行機に持ち込めますか?
A. 3.7Vで計算すると74Whで、160Wh以下なので機内に持ち込めます。ただし2026年4月24日からは1人2個までで、機内での充電はできません。預け入れ荷物には入れられません。
Q. mAhからWhへの換算式は?
A. 国土交通省の資料では「ワット時定格量(Wh)=定格容量(mAh)×定格電圧(V)÷1,000」です。電圧は本体に印字された値を使います。
Q. 10,000mAhのモバイルバッテリーはどれだけ使えますか?
A. 製品によって違います。目安になるのは出力側の定格容量です。CIO SMARTCOBY SLIMⅡ Wireless2.2 SS10Kは定格容量6,000mAh(5V⎓2A条件)と公表しており、30Wh÷39.2Wh≒約77%がこの条件でUSB出力として取り出せる計算です。ほかの出力条件やワイヤレス充電、スマホ側で蓄えられる量はこの値だけでは決まりません。出力側の定格容量は製品ごとに違うため、各製品の仕様表で確認してください。
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